文部科学省 地域イノベーション戦略支援プログラム[グローバル型]

函館マリンバイオクラスター 〜UMI(Universal Marine Industry)のグリーン・イノベーション〜 をテーマとした地域イノベーション戦略支援プログラムは、「計測・予測」「持続的生産」「高機能化」「ブランド形成」の4つの研究テーマを展開し、函館地域の多様な海洋資源・研究集団・高度・大量生産する技術を駆使して、世界レベルのマリンバイオクラスター形成を目指します。

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函館マリンバイオクラスタートップ > インタビュートップ > インタビュー 宮下 和夫
インタビュー
「脂肪燃焼効果抜群」のフコキサンチン研究のトップランナー
函館マリンバイオクラスター研究テーマ3 リーダー
宮下 和夫 北海道大学大学院水産科学研究院 教授
北海道大学大学院水産科学研究院 教授 宮下 和夫
運命の糸が導いた海藻研究
 宮下教授の今日の成果には様々な運命の糸が寄与していると思えてならない。同氏の出身は、長野県飯田市。一見海とは全く関係ないように思える土地柄だ。県内の高校を卒業後、同氏は東北大学農学部に進学、その後大学院に進む。ここでは主に食品の脂を研究するとともに、当時まだ広く認識されていなかった「食の安全」に関わる研究に着手した。当時は農産物から採れる脂の日持ちを良くするという、例えば抗酸化剤としての効能が高い植物油の研究など、私たちの食生活と健康に直結する事柄をテーマとしていた。
 ところが、大学院を卒業すると、大きく運命が変わる。当時自分の専門分野を活かせる場所として選んだ就職先が北大水産学部。就職の翌年に結婚、そのすぐ後にアメリカ・イリノイ州のピオリアの研究所で大豆脂についての研究のために渡米。民間レベルで産業に結び付く研究を、様々な国から来た研究者とともに経験したことが、後の活動に大きな影響を及ぼす。帰国後、水産学部での仕事に復帰したが、故郷とは大きく異なる北海道の港町の風景や生活には当初戸惑いが大きかったという。
 しかし、この函館という天与の豊かな漁業資源に恵まれた町で、これも豊富で多様な海草・海藻の研究に携わることになったことはまさに運命的な出来事。なんと海藻の研究というのは同氏の実父が研究をしていたテーマと偶然にも一致するものであったのだ。宮下氏の父親は、地元長野県で著述家として有名で、特に海藻に関してはその分野の研究者の必読書とされるほどの著作を発表していた。とはいえ、理科系の専門研究者ではなかった父親の関心は主に海藻の歴史や生育分布を探求することに向けられ、海藻の生物・化学的な知見に及ぶことは少なかった。その部分を息子である和夫氏が埋めることになった。
褐藻に多量に含まれる色素フコキサンチンは肥満改善に効果
 宮下教授の研究成果として有名なものが、函館の沿海に多く繁殖する褐藻類に含まれているフコキサンチンがどのようなプロセス人体に効果を与えているかということを科学的根拠に基づいて解明したことだ。一般の人にとっては、えっ?と思うことかもしれない。だが、科学の世界では、ある物質が人体にこのような(良くも悪くも)影響があるということはわかっていても、その効果の具体的根拠を示せと言われたら、きちんと説明できないことの方が圧倒的に多いのだそうだ。フコキサンチンについて、その解明ができたと発表された当時は世界中の有名メディア(CNNやBBCなど)が一斉に取材に訪れたほどの偉業であったという。
 宮下教授は、フコキサンチンを人々により多く採ってもらうことが今後の課題という。フコキサンチンは人の内臓脂肪を減らし、代謝を促進することで著しい肥満改善効果があるのだが、肥満の人にのみ選択的に効果があって、普通体型の人が摂取しても全く副作用が出ないという。昨今、様々な薬やサプリメントが出回っているが、摂取の仕方によっては健康な人に害を与えてしまうものも多い中で、非常に特異で優れた性質があるという。
「海藻」宮下 章著(宮下氏の実父)
「海藻」宮下 章著(宮下氏の実父)
フコキサンチンの分子構造
フコキサンチンの分子構造
食品への活用は開発途上
 体にいいものはできるだけ食物から採ってほしいと話す宮下教授。特にフコキサンチンは複雑な分子構造を持ち化学合成では製造できないため、食品としてどのように人々に食べてもらえるかがこれからの研究の課題だ。
 函館はそうした研究を進める上での条件の多くが揃っている。しかし研究成果を商品化するには地場の製造業の体制などまだまだ課題は多い。函館の産官学のこぞって、もっとグローバルな視野を持って取り組んで欲しいとも。宮下教授の研究成果が世界トップレベルであることへの認知がもっと高まることで、市民の意識にも変化が現れてくることを期待したい。
略歴
1955年 長野県飯田市生れ 東北大学大学院農学研究科食糧化学専攻博士課程修了
1985年 北海道大学水産学部水産化学科助手
2000年 北海道大学大学院水産科学研究科(生命資源科学)教授
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